日本のシェアリング社会環境への移行 シンポジウムに行って感じたこと

先日、シェアリング社会を推進している東京の団体が主催するシンポジウムに参加してきました。運営は海外からの視察団からのご質問に答えるような形で進められましたが、かなり疑問符がつく内容でした。

冒頭、日本のシェアリングエコノミーの状況について「「Airbnb」や「Uber」の登場で各段と幅が広がり、日本でもシェアリングエコノミーに対しての取り組みが進んでいる」と説明がありました。その締めは日本には伝統的に受け継がれている「もったいない文化」があるので、今後、さらに良いサービスが生まれますと断言され拍手を誘っていました。

しかし、現実は「Airbnb」や「Uber」などは全く広がりません。行政の規制で安全の確保や既得業者保護の名目でまったく進んでいません。また日本には“伝統的に受け継がれているもったいない文化”などありません。戦後は“使い捨て文化”が一般的で、最近は貧困や先行き不安によって、使い捨てできなくなっただけなので、これも当たりません。その辺りを質問しましたが、“何を余計なことを言っているのか”的な扱いをされました。確かに、お手盛り集会ならそうなのでしょうが、「日本のシェアリングエコノミーを考える」シンポジウムなのですから、本気の論議が必要なのではないかと思います。

そのあとは、各部門での個々の状況説明でしたが、これもお手盛りと言われる内容でした。

最初は我らが推進するakippaについての説明から入りました。自宅や事務所の駐車場を使っていないと駐車場を1日だけ借りたい人をマッチングするサービスで周辺の3割以下という低価格で駐車場を提供していますとの説明でした。

確かに大筋ではそうでしょう。しかし、akippaにも問題があります。それはどうしても都市中心部に偏っていることです。地方に行けば、ほとんどakippaの登録がありません。それは現状ではシェアリングエコノミーの一例であるに過ぎないからかも知れません。akippa自体も規制をかけられる怖さもあるのでしょうが、あまりCMなどには力が入っていませんし、業者も従来の大手コインパーキング業者に偏っています。

でも、まあこれも第一歩。ここまではOKでしょう。

さらっと流したのが古民家の再生や様々な遊休スペースや施設をネットで貸し出されるプラットフォームの紹介です。これには外国から参加された隣席の方も苦笑するほどの内容で、新たなシェアリング社会とはかなり遠い、寒い内容でした。日本国内だけのメディアで紹介されたことは何の手柄ではありません。

その後、幾つかの例が紹介されましたが、全部が特定のプラットフォームの紹介に終始しました。主催者のスタンスと集まった方々の意識の差が大きかったように思えます。最後にはこう締めくくられました。

“シェアリングエコノミーは地方創生に大いに役立つ。シェアリングエコノミーはビジネスだけではなく、地方活性化など様々な分野に拡大しています”。そう、だからその実例を示す必要があるのに、それに関する話はありませんでした。

まだまだ、日本にはシェアリング社会に移行する覚悟はないように思えます。しかし現在の国の状況は一日も早く、国内にその認識を広める時期にあります。且つて経済発展国から普通の国になった諸国でも、且つての栄光に執着して、現実の認識が遅れました。それが改革の遅れにも繋がったのは歴史が証明しています。官主導ではなく、民間主導のシェアリング社会への移行に待ったなしの状況だと感じました。